イギリスで生まれた「ありのままの風景を歩いて楽しむ」フットパス文化は、2000年代以降、日本各地へも急速に広がっていきました。
豪華なリゾート開発ではなく、地域に昔からある農道や林道、古い町並みなどの「地域の宝」を歩いて再発見する持続可能な旅のスタイルとして、今や日本全国の自治体や市民団体がフットパスづくりに取り組んでいます。
日本におけるフットパスの歩みと、全国で盛り上がりを見せる代表的な地域、そして全国コンテストで記念すべき初代日本一(グランプリ)に輝いた「フットパス芦北」の軌跡をご紹介します。
日本におけるフットパスの始まりと協会の設立
日本でフットパスの導入が始まったのは、2000年代初頭のことです。
バブル期の観光開発が見直され、「地域本来の自然や人々の暮らしに寄り添うエコツーリズム」が求められる中、北海道や山形県、東京都町田市などの先進的な地域で、イギリスのフットパスを手本としたコースづくりがスタートしました。
2009年には、全国のフットパス推進団体や自治体が連携し、「一般社団法人 日本フットパス協会」が設立されました。
コースの認定基準の策定やマップ作りの支援、指導員・ガイドの養成、そして全国大会の開催などを通じて、日本全国に「歩く文化」が根付いていきました。
日本全国でフットパスが盛り上がっている先進地域
日本国内には、地域の風土や歴史を活かした個性豊かなフットパスの聖地が存在します。
1. 北海道エリア(黒松内町・美幌町など)
日本のフットパス運動の発祥地の一つ。雄大な牧草地、ブナの自生北限の森、オホーツク海を望む丘陵など、北海道ならではのスケール感あふれる自然を歩くダイナミックなコースが整備されています。
2. 東北・山形エリア(長井市・川西町など)
最上川の舟運で栄えた歴史ある蔵屋敷の町並みや、日本の原風景を感じさせる田園地帯。四季折々の花や豊かな農村文化と触れ合える落ち着いたコースが人気を集めています。
3. 関東・町田市エリア
大都市・東京の近郊にありながら、谷戸(やと)と呼ばれる緑豊かな里山や雑木林、古道が奇跡的に保全されているエリア。都会の人々が気軽に自然と触れ合える週末の癒やしスポットとして親しまれています。
4. 九州エリア(九州フットパスネットワーク)
九州は全国でも特にフットパス活動が活発な地域です。
- 阿蘇エリア: 雄大なカルデラの大草原や美しい湧水群を巡るコース。
- 天草エリア: キリシタンの歴史遺産、海に浮かぶ島々、下田温泉を歩くコース。
- 水俣・津奈木エリア: アートの里山や湯の児・湯の鶴温泉、肥薩おれんじ鉄道と連動したコース。
- そして、「熊本県芦北町」です。
初代全国グランプリに輝いた「フットパス芦北」の歩み
数ある全国の名コースの中で、全国のフットパス関係者から最高峰の評価を受けたのが、熊本県芦北町です。
2017年、一般社団法人日本フットパス協会が主催した「第1回全国フットパスコンテスト」において、フットパス芦北の「上田浦〜御立岬コース」が全国のエントリーの中から栄えある初代最優秀グランプリ(日本一)を受賞しました。
なぜ芦北が全国日本一に選ばれたのか?
審査において、全国の審査員が絶賛したのは以下のポイントでした。
- ありのままの生活小道「ぎりぎりの小路」: 観光用に整備された舗装路ではなく、軽トラックがやっと通れるような、農家さんが代々使ってきた細道をそのまま活かしていること。
- 不知火海と「肥薩おれんじ鉄道」の共生: 穏やかな海の多島美と、すぐ足元をコトコト走る単線ローカル列車の車窓が織りなす唯一無二の絶景。
- 沿線住民の温かい人情とおもてなし: 歩いていると畑から笑顔で手を振ってくださる農家さんや、太刀魚のおもてなしなど、地域に暮らす人々の温かさ。
芦北町ではその後も歩みを止めることなく、熊本県知事表彰(地域づくり夢チャレンジ賞)の受賞や、町内全8コースのネットワーク化、肥薩おれんじ鉄道との「レール&フットパス」タイアップなど、日本のフットパス運動を牽引する先進地として歩み続けています。
初代日本一に選ばれた芦北の小道を歩いてみませんか?
全国のフットパス愛好家を魅了した「上田浦〜御立岬コース」をはじめ、芦北町には海、里山、温泉、歴史宿場町など多彩な表情を持つ全8コースが整備されています。
個人のお客様なら予約不要でいつでも自由に散策を楽しめます。心地よい潮風とみかんの香りに包まれる日本一の小道へ、ぜひお越しください。
全国グランプリ受賞時のレポートは「初代日本一受賞レポート」を、全8コースのルートマップやアクセス情報は「全8コース完全ガイド」をご覧ください。

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